黒部ダム建設とダイヤモンドビット 片岡副会長

理事が持ち回りで近況報告や最近の思いを綴ります。
第1回目は片岡副会長より寄稿いただきました。お楽しみください。

立山・黒部アルペンルートは長野県大町から富山県立山まで全長37㎞の世界有数の大規模な山岳観光ルートです。破砕帯を克服した映画『黒部の太陽』の舞台となった関電トンネルを過ぎると大自然と黒部ダムが眼下に現れ、だれしもが大きな感動を覚えます。
黒部ダムの建設目的は、日本が敗戦後の復興から高度経済成長期への過程での電力の安定確保でした。
アーチ式黒部ダムは、巨大な水圧を両岸及び湖底の基礎岩盤で支えるためにグラウト工事が不可欠となりました。ボーリングマシンで回転する直径約100㎜のパイプの先端にダイヤビットを装着し岩盤掘削を行い、孔にセメントミルクを注入します。何千回もの穿孔と注入を行い岩盤の断層・破砕帯の補強や遮水性を確保します。関電トンネル工事を含めボーリングの総延長はこれまでの10倍以上の30万mにも達したとのこと。
大規模ダム建設がない昨今では、このビット納期確保ための多くの逸話が忘れ去られ、社史に記載のみとなっております。
日本復興の崇高な使命と世界最先端の建設土木技術を駆使して、工期を遅らせることなく完成させた先人の叡智と苦労には最大限の尊敬と感謝の念を表します。
そしていつか再び当地を訪れ、家族にもビットを含めたこの歴史を共有したく思います。

旭ダイヤモンド工業㈱  片岡和喜

 

「黒部ダム建設とダイヤモンドビット 片岡副会長」への1件のフィードバック

  1. 当社の切削工具ビジネスのルーツも地球が相手の鉱山開発。黒部ダムに行った際には、当時の掘削作業を想像し、先人・御社の今日への貢献を感じたいと思いました。

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