理事が持ち回りで近況報告や最近の思いを綴ります。
第7回目は増田会長より寄稿いただきました。お楽しみください。
夢をかたちに
熱き思いの レーシングチームの若きサムライたちに出逢った
自分たちの手で小型レースカーを創りあげ
学生フォーミュラ大会への出場を目指す
汗を拭きふき 力強いまなざしと体から言葉がほとばしる 溢れ出る
秋から設計をはじめて冬から春に製作を、
夏に走行試験そして初秋には大会に臨む
世界にたった一台のフォーミュラカー創りに 青春を懸ける
一人ひとりが走行音の響きを思い描いて
ときの区切りに向けて 一歩を踏み出す
できないことはさせない
大会は車の速さだけで順位が決まるわけではない
地球への優しさ、コストやマーケティングなどの総合力
自分たちの創った車に込められている
チームの思いの結晶がかたちに現れている
その発表の場
日々の活動の積み重ねが
チームのメンバー自身の育ち合いに繋がっている
一人ではできないことも 違う個性が寄せ集まったら
どれほどの力になるか
チームは車体班、駆動系班、流体班、企画班の4班から成る
大会までの日程の組み立て、スポンサー捜し、資金調達と生活のためのバイト
学業との両輪で 今あるときを懸命に生きている
何もないところから創り上げる
あるのはそれぞれが描いた夢と熱意と一人ひとりの経験と知恵
それでもハードルは高く
車創りの過程・プロセスで 大きく分厚い壁に対峙することも
実践のプロセスが宝のとき
そのプロセスが楽しい
ひとは一人では生きられない
一人ひとりが違うからいい
自分にはなかった知恵を相手は持っている
互いに 敬愛して 認め合うときに
それぞれのいいところにスポットライトが当って 耀きをます
欠けることなき一人ひとりがいて 他にかわるものなしの
このメンバーだから出来た
ときの宝の詰まった車に
すべてプロセス
扉の開いたロッカーからはみ出している
汗と油の染みついた つなぎの作業服から
歴代の先輩が無言で残してくれた伝統
ときの宝 音無き励まし エールが聴こえてくる
世の中の標準化と対極にある すり合わせの技
品質を極限まで追求する、図面には表れない技術へのチャレンジ
能力以上の性能を発揮することも
ゴールに近づくときに何日も仮眠するのだろう寝台も
見えない心の後押しを
試行錯誤を繰り返し 上手くいくことよりいかないことが多い
すべてがプロセス
すべて意味あるとき
立ち戻るのは
ものに真(こころ)ありて まして人
答えは一つではないと学ぶ
拘わらず 心を360°に開いて 面白ーい と見てみたら
思わぬところから答えが出てくる
共に夢を
そのとき その場で ときを共にした仲間がいて
今日一日が納得のできる一日だったかどうか
心で優しく生きていただろうか
作業服に染みついた油の匂いだけで
互いに原点に戻れる幸せな戦友
一年後 鏡に映る 己に気がついて
ひとり喜びの泪を流すことに
まして人が 一つになって出来上がった車
そのフルフェイスヘルメットから眺める空は
どんなに美しいだろう
増田 照彦