役員が持ち回りで近況報告や最近の思いを綴ります。
今回は小林幹事長の2回目の登場となります。お楽しみください。
5年くらい前、タイに仕事で2年間駐在していました。最初の1年は、海外の生活に慣れるのに必死で、毎日があっという間に過ぎていきました。でも、2年目になると少し余裕も出てきて、同僚と一緒にタイの北のほうの田舎町をいろいろ旅するようになりました。観光地といってもお寺ばかりで、食事もどこも似たような味で、だんだん飽きてくる感じもありました。
そんな中で、いちばん面白いと思ったのは、現地の人たちの暮らしを見ている時間でした。誰かと特別仲良くなったわけではないのですが、街の中を歩いている人たちをただ見ているだけで、その人がどんな生活をしているのか、どんな人生を歩んできたのかを勝手に想像するのがすごく楽しかったのを覚えています。
日本に帰ってからも出張先とかで同じようなことをやってみたのですが、日本だとどうしても自分の生活と重なってしまって、あまり面白さを感じません。また、日本人の心情に長年馴染んでいるせいか、想像の幅も狭くなってあまり新鮮味がありませんでした。
タイは日本から4,600キロも離れていて、文化も言葉も全然違います。そんな場所で自分とはまったく違う環境で生きてきた人たちを見ると、不思議と「この人たちも同じ時代を生きてるんだな」と感じる瞬間がありました。そして、ふとした表情や動きがなぜか日本人の自分と重なるように見えて、そういうときに言葉ではなんとも言えない気持ちになりました。
あのとき感じた「違うけど、同じ」という感覚が、今でも心に残っています。
あの静かな田舎町で、子どもが走り回る様子や、昼下がりに店先でうたた寝をする人、屋台で世間話をしながら働く人たちを見ていると、日々の営みのあたたかさや人間らしさに触れた気がしました。文化や生活様式は違っていても、「暮らし」という根っこの部分では、人はどこでもそれぞれの人生を似たような幸せや苦労を抱えて生きているのかもしれないという思いが、今の自分の生活に彩りを与えているように感じます。
