会員の近藤亮様よりご寄稿いただきましたので紹介いたします。
理工学部機能創造理工学科の近藤です。先日、ものづくりソフィア会第15回大会に現役の学生として参加させていただきました。社会で立派に活躍されている会員の方々との交流は非常に勉強になり、多くの新しい考え方を学ぶことができたと感じています。参加するきっかけをくださった田中先生をはじめ、我々学生を温かく迎え入れてくださった会員の皆様には、この場をお借りして御礼申し上げます。
私はソフィアレーシングという学生フォーミュラに出場する団体に所属しており、小型のレースカーの設計、製作を通じてエンジニアリングを学んでいます。チームに参加した当初は右も左も分かりませんでしたが、チームの一員として活動するうち、様々な制約の中で性能を追求する難しさ、それぞれの担当者と協力して1台の車を作り上げることの難しさを実感するようになりました。自分ひとりで車を作るわけではないので、意見が合わないことや、相手の考えに納得できないことも時にはあり、技術的なことのみならず、人との関わり方についても多くを学ばせていただいております。「ものづくりは人づくりである」という考え方はものづくりソフィア会においても理念の一つになっていますが、正しくその通りだと私は思います。他者と協力して設計を行っていく以上、相手を理解するのはもちろん、その人が携わっている分野に関してもある程度の知識が必要ですし、円滑なコミュニケーションは組織として良い雰囲気を生み出し、より良い製品へとつながっていくでしょう。学生フォーミュラは競技の一種でありながら、教育プログラムの側面も併せ持っているため、ソフィアレーシングでは、良い車を作ることはもちろん、チームのメンバーそれぞれが自身の成長を目指して日々活動しています。
ものづくりと言えば、設計・製造にフォーカスされがちですが、作ったものを販売する人や、技術者たちが設計に集中できる環境を整えてくれる人も「ものづくり」という一連のプロセスの中に組み込まれて活躍しているわけで、そういった意味では、ものづくりソフィア会の理念と学生フォーミュラ大会の開催意義には共通点があると言えます。学生フォーミュラでは、車の性能のみで順位が決まるわけではなく、作った車を販売することを想定したマーケティング戦略を競う競技もあり、それらの点数の合計で順位が決定されるため、ソフィアレーシングにおいても、文系の学生たちが大いに活躍してくれています。競技の点数に直接関わる部分のみならず、フレッシュマンウィーク、ソフィア祭をはじめとする学内外の行事の準備、メンバーの進捗管理、SNSの運用など、理系のメンバーだけでは手が回らなかった部分で文系のメンバーが活躍することにより、より強いチームが形成されています。
コロナ禍で部員数が3名にまで減り、活動の存続が危ぶまれた時期もありましたが、EV部門で再スタートを切り、現在は部員数は15名まで増加しました。ソフィアレーシングが最盛を迎えていた頃に比べると、技術的にはまだまだ及びませんが、頼もしい後輩たちの姿を見て、最盛期のソフィアレーシングを越える日もそう遠くはないように感じております。ものづくりに夢中になり、高みを目指して成長していくソフィアレーシングを、これからも見守り、応援していただけたら幸いです。